鳥は泳ぐ｜羽田 誠

鳥は泳ぐ｜羽田 誠 / 2011.04.02 / Makoto Hada

あの頃の僕は、石ころを蹴りつづけていた。
学校から家までの帰り道。 石ころを蹴りつづけていた。
石ころが溝に落ちたり、もしも誰かに奪われてしまうようなことがあったなら
世界が終わってしまうとでも言うほどに、それこそ必死になって石ころを蹴る。
出来るだけ真っ直ぐ蹴る。 石ころを。
あの子はもう、家に着いたかな。
ああ、そんなことはどうだっていい。 石ころに集中しないといけない。
だって家まで石ころを蹴って帰らなければ、世界が終わってしまうのだから。
ただ、本当に溝に落ちてしまったら、案外けろっとして別の石ころを蹴りはじめたっけ。
なにげない日常の中で、愛すべき可笑しみを切り撮った、羽田 誠　初の写真集。
やさしくて、少しばか。
装丁・ブックデザインをやりました。
取扱店、増えてきました。

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